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非採算部門から知的資産部門への転換(2003年発表) VOL.03 [Tea-break]

 

【輸血療法WGの設立に向けて】
 着任当時(平成14年4月) 、輸血に関する討議は「製剤小委員会」においてなされていたが、あくまでも血液製剤の運用に関しての内容であり、輸血療法委員会に相当する委員会ではなかった。したがって輸血療法に関する部門間討議は事実上実施されていなかったため、血液製剤の適正利用を語るには程遠い状態であった。平成14年7月には、京都地区における血液センターに対しての血液製剤返品が認められなくなり、輸血管理室としては院内返納率減少と血液製剤の有効利用(回転率向上)を目的として、手術準備血に関しての院内規定を改正した。下図はその効果を表わしたものであるが、RC-MAP血返納率は2002年、2003年の同月(4、5月)比較において、37.6%から20.4%に減少した。また手術時準備血に関しての返納率は、71.4%から46.4%に減少し、明らかな効果が認められた。しかしこの結果は、規約を改正すれば効果が得られるというものではなく、普段からの輸血管理室としての取り組み姿勢や働きかけが最重要要件であったことは言うまでもない。

 

 平成14年7月に院内規約改正を行ったが、病院の方針としての小委員会再編成にて製剤小委員会は薬剤委員会に統合され、事実上廃止となった。当院では平成10年4月より輸血一元化を検査部門において実施しているが、製剤小委員会の開催頻度は年1回程度であったことが統合の最大要因であった。そのため輸血に関する討議は薬剤委員会内において行われることとなったが、輸血管理部門担当者は薬剤委員会構成委員にはなっておらず、輸血療法に関する実務的な討議は事実上道が閉ざされる形となった。輸血管理室として、また臨床検査科として輸血療法委員会設置を病院側に継続して要求する一方、ボトムアップにより輸血に関する認識を改善する目的で、病棟における勉強会開催や、看護学校における輸血講習会などを積極的に行った。また院内運用規定(取り決め事項)の策定や、前述した医療管理委員会との共同作業で、医療事故防止の観点から輸血運用マニュアルの策定を行い、徐々に意識改革、改善を進めていった。また時間外対応としては、平成14年10月から輸血管理室スタッフ2名によるオンコール体制をとり、主として時間外検査当直者からの問い合わせや業務支援を行っている。その対応内容は以下の通りである。
輸血管理室スタッフ時間外対応内容
 1. 輸血担当者が出勤し対応するもの
  患者が不規則抗体を有しており、赤血球製剤交差適合試験の依頼があった場合
 2. 当直者から輸血担当者に必ず電話連絡を行い、指示を仰ぐもの
  ① FFP製剤について・・・21単位以上の依頼(ただし手術を除く)
  ② PCについて・・・5単位以下の依頼、一日使用量として20単位を超える場合
  ③ MAPについて・・・新生児および3歳までの乳幼児の依頼、ならびに輸血管理システムにて抗体保有履歴のある患者についての依頼。
  ④ その他・・・患者血液型がRh(-) の場合、MAP・FFP・PC以外の血液製剤依頼
 3. 当直者が対応するもの
  1.2.以外の場合においては当直者対応となる。また検査業務煩雑等による呼び出しは、臨床検査科応援連絡表に基づき実施するため、輸血担当者は呼び出ししない。

 このような取り組みの目的としては、院内における輸血療法の安全性ならびに質向上を目指し、患者により安全かつ高品質な輸血療法を提供することであるが、我々自身の意識改革、すなわち、輸血検査室から輸血管理室(管理部門)への転換である。またこのような取り組みは科長、技師長をはじめとする臨床検査科スタッフ全員の深い理解と協力体制の基に成立すると断言する。

 【新井の本音コメント:輸血管理室】 私自身、輸血関連業務は超音波検査業務と併せ、特別な思い入れのある検査業務です。輸血検査は初任地(福知山)から当然のことながら行っているものですし、輸血管理業務は神戸で約8年間(バーチャル一元)、京都で2年間、大阪で1年間一元管理業務を行ってきました。輸血管理室の業務は院内で煙たがられ、話し合えばご理解いただけるというのが実感ですが、色々と院内各部署と衝突することも多いのが実情です。尚更各関連部署との連携が必須となりますし、最新情報取得やその周知・啓蒙活動など、情報発信も非常に重要な業務の一つになります。また輸血関連業務は医療事故とも直結するものであり、責任感と自律、そして幅広い臨床的知識がなければ成立しない業務の一つですので、正直言ってその責任の重さ故に敬遠する検査技師も多いのが実情でしょう。しかし、だからこそやってみて面白い、やりがいがあるという業務であるということを、輸血管理室室員と話してきたことです(正直言って、京都も大阪もそういった責任感が強く洞察力に優れたスタッフに恵まれていました)。輸血関連業務はリスクマネージメントと深く関与しており、私自身はキーパーソンとしてまず、リスクマネージャーとの連携に努めてきました。リスクマネージャーと連携することにより、実情の把握は勿論のこと、直接的・迅速的な改善も可能となりました。このリスクマネージャーの皆さんにも現在の施設を含め、私自身これまで非常に恵まれていたと思います。いずれにしても、輸血関連業務のみならず臨床検査業務というものは、院内の関連各部署と密接にリンクできなければ、成立し得ません。


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NO NAME

貴院の様に輸血管理に対し既に実施されている施設では問題ないと思いますが、輸血管理料の算定要件等はどのような状況でしょうか。輸血学会のホームページでは要望書段階での基準は判るのですが、実際に運用される基準等が判ればお教え頂きたいのですが。
by NO NAME (2006-02-27 17:18) 

Koji

 正直申し上げて、実際の運用に関する基準は分かりかねます。と言いますのも現在出されている基準は、あくまでも案であり、まだ変動する可能性があること(実際にアルブミン製剤の取り扱いについては記載が異なってきています)、診療報酬のQ&Aなどが勿論のことながら、まだ出ていないことなどによります。確定していないものを私が軽々に申し上げるわけには行きません。ただ現時点で言えるのは、今回の改定においては、FFPの使用に関する基準が非常に厳しいため、この部分でクリアできない施設が多々あると思われます。一回の血漿交換療法が命取りなんてことも実際あるのではないでしょうか?
 いずれにしても、FFPの過剰使用については以前より問題視されていることですし、血液製剤を一元管理することで非常に大きなメリット(経済的にも臨床的にも)が生まれることは明らかですので、この部分において拍車がかかればと願っています。
 また私自身、保険点数に関して素人にも等しいため、十分なお答えが出来ないことをお詫びするとともに、ご質問される際には出来れば、お名前もしくはハンドルネームをお願いいたします。
by Koji (2006-02-27 22:46) 

Koji

ご存知だとは思いますが、先日公開された輸血管理料に関する要件を記載しておきます。

輸血管理料について
(概要)輸血療法の安全かつ適正な実施を推進する観点から、医療機関における輸血管理体制の構築及び輸血の適正な実施を評価する。
(具体的内容)輸血管理料Ⅰ及びⅡの新設
【要件】
(輸血管理料Ⅰ)
 1.輸血部門において専任の医師及び専従の臨床検査技師を配置していること
 2.輸血部門において輸血用血液製剤およびアルブミン製剤の一元管理がなされていること
 3.臨床検査技師が当直し、24時間の輸血用血液検査の実施体制が構築されていること
 4.輸血療法委員会が設置され、年6回以上開催され血液製剤(アルブミン製剤を含む)の使用実態の報告等がなされ、輸血実施に当たっての適正化の取り組みがなされていること、また、輸血副作用監視体制が構築されていること
 5.血液製剤使用適正化の実施(FFP/MAP比が0.8未満,アルブミン/MAP比が2未満)
(輸血管埋料Ⅱ)
 1.輸血部門において責任医師および専任の臨床検査技師が配置されていること
 2.輸血部門において輸血用血液製剤の一元管理がなされていること
 3.24時間の輸血用血液検査の実施体制が構築されていること
 4.輸血療法委員会が設置され、年6回以上開催され血液製剤(アルブミン製剤を含む)の使用実態の報告等がなされ、輸血実施に当たっての適正化の取り組みがなされていること、また、輸血副作用監視体制が構築されていること
 5.血液製剤使用適正化の実施(FFP/MAP比が0.4未満,アルブミン/MAP比が2未満)
by Koji (2006-02-28 00:09) 

Kazu

今回の診療報酬改定は、輸血分野においては、輸血管理料、自己血貯などに関して新たに評価がなされる方向です。 輸血学会や関係する人々の要望が達成される大きな第一歩の改訂となることと思います。関係の先生方へのご尽力には深く敬意を表します。 このことは、輸血療法の安全性の向上を願うものとしても大変嬉しく思っています。  特に輸血管理料については、各医療機関の体制整備や、適正輸血の推進に寄与することが期待されており、要件の最終決定には多くの関係者が注目をしているものと思います。 
 管理体制についてもさることながら、FFP,アルブミン製剤など諸外国に比較して明らかに使用の多いものに関しては、基準について各医療機関の特別な状況にも依存することから議論もあることと思います。 しかしながら、まずはこの要件により適正使用が推進され、その上で今後、より実情にあった形で要件が改訂されることを期待していきたいと思います。   現時点ではまだ新設輸血管理料の要件は、確定ではないようです。日本病院会では、3月10日診療報酬改訂についての説明会が行われる予定です。http://www.hospital.or.jp/seminar/seminar_index.html?shinryo
厚生労働省保険局医療課の担当官より説明が行われるため、これまでには諸条件が決まるのではないかと注目しています。
by Kazu (2006-03-02 22:49) 

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    遠位型ミオパチーという病気をご存知でしょうか? 
    筋肉そのものに原因があって、筋力が低下する「ミオパチー」といわれる疾患の中で治療法が全くなく、
    体幹部より遠い部分から徐々に筋力が低下していく非常に重い筋肉の進行性難病です。
    100万人に数名といわれる希少疾病ですが、2008年に「遠位型ミオパチー患者会」が発足しました。
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    多くの方々に賛同していただき、患者会の目標を達成することが目標です。その一つに「難病認定」
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